サウナ室の扉を開けた瞬間の、あの香りが好きです。あたためられた木の、甘くて、少しスパイシーで、どこか懐かしい匂い。サウナの気持ちよさというと、熱と汗の話になりがちですが、じつは鼻から入ってくるあの香りが、かなりの仕事をしています。今日は、サウナと木の香りの話。結論から言えば、サウナとは、着替えて入る森林浴なのです。
森の香りの、正体
森を歩くと、心がすっとする。あの感覚には、名前があります。樹木が放つ「フィトンチッド」と呼ばれる香りの成分です。木々が自分の身を守るために出しているこの成分を、人が吸い込むと、気分が落ち着き、リラックスにつながると言われていて、森林浴の心地よさの立役者とされています。日本で生まれた「森林浴」という言葉が、いまや世界に広まっているのは、この気持ちよさが万国共通だからでしょう。
そして、サウナ室の内装は、木でできています。壁も、天井も、ベンチも。つまりサウナ室とは、木の香り成分に、ぐるりと囲まれる小部屋なのです。
熱が、香りの扉を開ける
しかも、サウナには森にない強みがあります。熱です。木の香り成分は、温度が上がるほど、さかんに立ちのぼります。冷たい森の朝より、日差しにあたためられた昼の森のほうが香るように、九十度のサウナ室では、木が、めいっぱい香りを放っている。さらにロウリュで蒸気を上げれば、湿った熱が木の香りを抱き込んで、部屋いっぱいに満ちる。深呼吸すれば、胸の奥まで森が届く。サウナは、いわば「香りの立った森」なのです。(呼吸で味わうサウナの話は、こちらに。)
白樺と、針葉樹と
森の楽しみを、さらに足すこともできます。白樺の枝葉を束ねたヴィヒタを吊るせば、みずみずしい若葉の香りが加わる。フィンランドの家庭では、使う前のヴィヒタをサウナに吊るしておいて、部屋ごと香らせます。松やユーカリのサウナアロマをロウリュに一滴たらせば、その日の気分の森がつくれる。今日は北欧の針葉樹の森、明日は白樺の林。サウナ室は、香りで旅ができる部屋でもあります。(ヴィヒタの話はこちら、アロマの話はこちら。)
森の国の知恵、木の国の私たち
国土の大半を森が覆うフィンランドの人たちが、木の小部屋で汗を流すことを何百年も続けてきたのは、偶然ではないと思います。森の恵みで体を清める。それがいちばん心地よいことを、暮らしの中で知っていたのでしょう。そして、日本もまた、世界有数の森の国です。岩手は、そのなかでも特に森の深い土地。木の香りに包まれて育った私たちの体に、サウナが心地よくないはずがないのです。(サウナの木材の話は、木の乾燥の話に詳しく。)
家に、森を一部屋
自宅サウナを持つということは、家の中に、小さな森を一部屋つくるということです。仕事でくたびれた夜、森まで出かける体力はなくても、廊下の先の森なら、歩いて十歩。木の香りを深く吸って、汗を流して、眠る。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、香りまで気持ちのいいサウナの設置をお手伝いしています。木の香りのするモデルルームのようなご相談も歓迎です。おすすめの一台と一緒に、あなたの森、つくりませんか。



