薪の話をさせてください。うちは祖父の代から薪を商いにしてきた家で、私で三代目です。薪のことなら、たぶん岩手でもかなりしつこい部類に入ります。
いい薪の条件は、ひとつだけです。よく乾いていること。樹種とか太さとか値段とか、そういうことより先に、まず乾燥なんです。
生乾きの薪は、三重に損をする
伐ったばかりの木は、重さの半分ちかくが水です。これを燃やすと、火の熱がまず、その水を飛ばすのに使われてしまう。部屋は暖まらないし、ガラスは煤ける。おまけに煙突にはタールが付く。乾いていない、ただそれだけで、これだけ損をするんです。
とくに怖いのが煙突のタールです。これは煙道火災という煙突の中の火事の燃料になります。私は煙突掃除人でもあるので、タールでべっとりの煙突を毎年たくさん見ます。ほとんどの原因は、薪の乾燥不足です。
薪は買うものというより、
「乾かすもの」なんです。
乾かし方は、風と日、あとは時間
薪づくりの基本は単純です。割って、風の通る場所に積んで、雨をよけて、待つ。目安は最低でもひと夏、できれば1年から2年。含水率20%以下が合格ラインです。
コツは「早く割る」こと。丸太のままでは、木はなかなか乾きません。割って断面を空気にさらして、はじめて乾燥が始まります。春に割った薪が、その年の冬にぎりぎり間に合うかどうか、という感覚です。
いい薪の見分け方
お店やネットで薪を買うときは、ここを見てください。
①持って軽いこと。同じ大きさなら、軽いほうが乾いています。②木口(切り口)にヒビが放射状に入っていること。乾くと木は割れてきます。③薪同士を叩くと「カーン」と高い音がすること。生木は「ゴッ」と鈍い音です。④皮が浮いて剥がれかけているのも、乾いたサインです。
広葉樹(ナラ・サクラなど)は火持ちがよく、針葉樹(スギ・マツ)は火つきがよい。焚き付けに針葉樹、本番に広葉樹と使い分けるのが理想ですが、最近は針葉樹を燃やせるストーブもあります。岩手は杉の間伐材が豊富なので、これを活かせるのは大きいです。
薪割り、一緒にやりませんか
うちでは年に数回、薪割イベントをやっています。丸太を囲んで、玉切りして、割って、積む。ひとりだと骨の折れる作業も、数人でやると笑いの絶えない一日になります。薪ストーブをお使いの方も、これからの方も大歓迎です。
それから、うちの薪はよく乾かした広葉樹が中心で、盛岡を中心に配達もしています。他社で買ったストーブの方も、まったく遠慮はいりません。薪のことは、三代目に聞いてください。



