フィンランドの古い言い伝えに、こんな話があります。サウナには、トントゥという小さな妖精が住んでいる。サウナトントゥは、そのサウナの主のような存在で、家の人たちがサウナを大切に使っているかどうかを、いつも小屋のすみから見守っている、というのです。今日は、サウナの本場に伝わる、やさしい民話の話をさせてください。
妖精は、行いを見ている
サウナトントゥは、ふだんは姿を見せません。けれど、家の人たちがサウナを清潔に保ち、静かに、行儀よく使っていると、トントゥは機嫌よく、そのサウナと家を守ってくれると言われます。反対に、サウナで騒いだり、汚したり、乱暴に使ったりすると、トントゥは怒って、いたずらをしたり、家を出ていってしまったりする。フィンランドの子どもたちは、こうした話を通じて、サウナが神聖な場所であること、静かに大切に使うものであることを、自然と学んでいくのだそうです。
最後のロウリュは、トントゥに
いちばん好きな風習が、これです。サウナを上がるとき、最後にもう一杯だけ、石に水をかけていく。それは自分のためではなく、あとから入るサウナトントゥのためのロウリュ。一日の終わり、無人になった小屋で、妖精がゆっくり蒸気を浴びている。そんな情景を思い浮かべながら、ひしゃくの水を残していくのです。クリスマスの夜には、トントゥのためにサウナを温めておく地方もあったと言われます。道具への感謝を、こんなに可愛らしい形にした文化を、私はほかに知りません。
物語は、暮らしの知恵
もちろん、これはおとぎ話です。でも、よくできたおとぎ話は、暮らしの知恵の器でもあります。サウナを清潔に保つこと。静かに使うこと。使い終わったら、きちんと乾かして、次に備えること。トントゥの機嫌を損ねないための作法は、そのまま、サウナを長持ちさせ、心地よく保つための手入れの基本と重なっています。妖精を大事にする家のサウナは、実際に、カビも傷みも少ないはずです。物語の力で道具を守る。昔の人は、賢かったのです。(サウナのお手入れの話は、掃除の現場の話もどうぞ。)
あなたのサウナにも、一杯を
自宅サウナを持ったら、ぜひこの風習も一緒に持ち帰ってください。上がりぎわの、トントゥへの一杯。それは迷信というより、今日も気持ちよく汗をかかせてくれた小屋への、小さなお礼です。その一杯を続ける人のサウナは、きっと長く、いい状態で保たれます。(ロウリュの話はこちら、サウナの言葉たちはこちら。)
妖精の住みたくなるサウナを
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、トントゥが住みつきたくなるような、木の香りのいいサウナの設置をお手伝いしています。長く大切に使えるサウナ選びと、手入れの作法まで、まるごとご相談ください。あなたの家の小さな住人に、今夜も一杯、残してあげてください。



