「昨日飲みすぎたから、サウナで汗かいて抜いてくるよ」。昔から、よく聞く台詞です。気持ちは、痛いほどわかります。重い頭とむかつきを、汗と一緒に流してしまいたい。でも、サウナを商う店として、今日ははっきり言わせてください。二日酔いのサウナは、酒を抜くどころか、危険です。大切なお客様に事故があってからでは遅いので、この記事を書きます。
アルコールは、汗からは抜けない
まず、大前提の事実から。体に入ったアルコールを分解するのは、汗腺ではなく、肝臓です。汗や尿、息と一緒に体の外へ出ていくアルコールは、全体のごくわずかと言われています。残りは肝臓が、決まったペースで、こつこつ分解していくしかありません。つまり、どれだけ大汗をかいても、分解のスピードは、ほとんど早くならないのです。「汗をかいてすっきりした気がする」のは、気分の話であって、体の中では、肝臓が黙々と残業しているだけ。サウナは、その肝臓の仕事を、手伝ってはくれません。
二日酔いの体は、干からびている
それどころか、サウナは事態を悪くします。アルコールには、体の水分を外へ追い出す利尿の働きがあり、二日酔いの朝の体は、すでにからからの脱水状態です。頭痛やだるさの大きな原因も、この脱水にあると言われます。そこへサウナで大汗をかけば、脱水に脱水を重ねることになる。頭痛は悪化し、血圧は乱れ、立ちくらみやめまいのリスクが上がります。ただでさえふらつく頭で、熱いサウナ室と冷たい水風呂を行き来することの危なさは、想像がつくはずです。楽になるどころか、体はもっと悲鳴を上げます。(お酒とサウナの正しい順番の話は、こちらに書きました。)
二日酔いの正解は、地味です
では、どうすればいいか。正解は昔から変わらず、じつに地味です。水分と電解質を、少しずつ、何度も補給する。がぶ飲みではなく、こまめに。汗で失われるのは水だけでなく塩分やミネラルもですから、水に少しの塩や、経口補水液を選ぶと、体になじみやすい。消化のいいものを食べられるなら、少し食べる。そして、休む。眠る。肝臓が仕事を終えるのを、静かに待つ。それだけです。近道はありません。サウナに入っていい目安は、二日酔いが完全に抜けて、食欲が戻り、水分がしっかりとれてから。つまり、早くても翌々日から、と考えておくと安心です。その日までは、サウナのことはいったん忘れて、体をいたわる日と割り切る。楽しみは、逃げていきません。
順番さえ守れば、いい相棒
誤解のないように言い添えます。お酒とサウナは、敵同士ではありません。サウナのあと、しっかり水分をとってからの一杯は最高ですし、程よく汗をかいた翌朝が軽く感じられるのも、サウナのいいところです。大事なのは、順番だけ。「飲む前にサウナ、飲んだらサウナはおしまい、二日酔いの日はしっかり休む」。この三つさえ守れば、お酒もサウナも、末永くいい相棒でいてくれます。楽しむための、シンプルな約束事です。回復してから入る一回は、驚くほど体に沁みます。焦って早める一回より、しっかり待った一回のほうが、ずっと気持ちいい。その順番の感覚こそ、サウナを一生の楽しみにしてくれます。
正直なサウナ屋として
売る側として、サウナの都合のいい話だけをするのは簡単です。でも、私たちは岩手・盛岡で、お客様と何十年と付き合っていく店です。だから、危ないことは危ないと、はっきり書きます。ハルビア岩手県正規代理店として、安全な楽しみ方まで含めてお伝えするのが、私たちの仕事です。正しく付き合えば、サウナは一生ものの楽しみ。おすすめの入り方のご相談も、いつでもどうぞ。
写真: JP Korpi-Vartiainen (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)
